発達障害児の支援

発達障害について

子どもに発達障害が分かった、けど、具体的にどうしたらいい?

そんな風にお困りの方、たくさんいるかと思います。

今回はそういったケースの対応法についてお話ししたいと思います。

この記事を読めば、

  • 発達障害の子とのアタッチメントの形成方法を理解する
  • 脳科学の観点から、親が発達障害の子にしてあげられることを知る

といったことができます。よろしくお願いします。

今回参考にしたのはこちらの本です。


大前提!家族だけで抱え込まない!

発達障害において、最も難しい問題の一つが

家族との関わり

です。

最も密に接しますから、問題が起こることも多いのです。

ですので、家族だけでその困り感を抱え込まず、

ぜひ医療機関や関係のサービスを利用し、

みんなで本人を支援していく、という体制を作っていきましょう

発達障害とアタッチメント(愛着)について

アタッチメント(愛着)とは、

主に乳幼児期に養育者との間で作られる基本的な信頼関係

です。

ですが、発達障害の子どもは、アタッチメントの形成が遅れたり

適切に形成せず、二次的な障害に繋がることが多いです。

ですので、発達障害の子どもに対しては

アタッチメントの形成を適切に行うことが重要になります。

アタッチメントの作り方

子どもと養育者の間で応答を繰り返す中で、アタッチメント(愛着)が形成されます。

(例)

  1. 子ども:不快なことがあったら養育者のもとに行く、あるいは泣いて呼ぶ
  2. 養育者:子どもが不快な体験をしていたら、すぐに応答する
  3. 1〜2を繰り返す中で、アタッチメント(愛着)が形成される

アタッチメントが上手く形成されない場合

アタッチメントは発達の起点になります。

アタッチメントが適切に形成されないと、以下のような影響が出ます。

  • 情緒が安定せず、常に不安な状態になる
  • 新しい行動の開拓が少なく、意欲が低い
  • 積極的な会話が減り、言葉の発達の遅れにつながる

アタッチメントの具体的な作り方

以下が具体的な作り方です。

  1. 子どもに強みを見せる
  2. 大人から先に興味を向ける
  3. 時間をかけて関わる

子どもに強みを見せる

例えば、赤ちゃんの時の保護者は

なぐさめてくれる、危ないことから守ってくれる

といった頼りになる存在です。

こういった行為を重ねて、子どもにとっての「安全基地」になるわけです。

このように、支援者が安全である、頼りになる、ということを知らせるために

強みを見せる

ということが一つの手段になります。

スポーツでも、遊びでも、クイズでも何でも良いです。

強みを見せることで「あの人に関わりたい」と思ってもらうわけです。

大人から先に興味を向ける

アタッチメントが不安定な子にオススメの方法です。

効果は2つ。

  1. 安心感が大きい
  2. 適応行動(その場に適した行動)を教えやすい

です。

先に大人から関わっていくことで、

子どもはさまざまなことに安心して関わっていけるようになります。

また、適切な行動の判断基準のモデルを示すことにもなります

そういった点から、大人から先に興味を向ける、ということが重要になるのです。

時間をかけて関わる

次に大事なのが、時間をかけて関わるということです。

長ければ良いわけではありませんが、

長時間一緒に過ごす方が信頼と安心を深めやすい傾向にあります。

保護者のメンタル負担が増えすぎないように注意!

色々とアタッチメントの形成のポイントをお伝えしました。

ですが、あれもこれもやらなきゃ、となると保護者の負担が増え、

保護者がいっぱいいっぱいになってしまいます。

保護者の方は、学校、医療機関(精神科医、カウンセラー)など、

利用できるサービス、関係機関と協力して子どもの対応にあたるのが良いかと思います。

脳科学の観点から、親から子にできる13のこと

次は、脳科学の観点からわかっている

親から子に行うと良い、13のこと

を紹介します。

以下がその内容になります。

  1. すべきことは正確に伝える
  2. 冷静さを保つ
  3. 小さい頃から多くの職業に触れさせておく(進路選択)
  4. 起こるかもしれない変化を説明し、どうなるか分からないことを減らすようにする
  5. 子ども自身の中にある感覚や欲求を把握できるよう、親が手助けをする
  6. 努力が報われるという経験を与える
  7. 分析して優先順位をつけることを教える
  8. 情報の変換を行う
  9. 具体的なものを抽象化し、他の具体的なものに落とし込むサポートをする
  10. 「切り替えコスト」を小さくする
  11. 答えがない疑問には向き合わないようにサポートする
  12. できることに集中し、できないことには悩ませないようにする
  13. 負のらせん階段を一緒におりない

たくさんあるので、いくつか絞って説明させていただきます。

起こるかもしれない変化を説明し、どうなるか分からないことを減らすようにする

発達障害のお子さんは不安を感じやすく、変化を嫌う傾向にあります。

不安は学習の効果をさげ、プラスの影響もないため、できるだけ取り除いてあげましょう。

変化を嫌う背景には

「変わった先がどのようなものかが分からない」

という気持ちがあります。

起こりうる変化を説明し、どうなるのかが分からないことを減らしてあげましょう。

子ども自身の中にある感覚や欲求を把握できるよう、親が手助けをする

発達障害のお子さんは、自分の内部にある感覚、

例えば眠気・空腹・疲労といったものに鈍感であったり逆に敏感であったりします。

そういった感覚とどう付き合っていくのか、それを具体的に教えてあげましょう。

例えば、夜更かしをしてしまった翌日に

「昨日寝てないから今日はすぐ眠くなりやすいからね。」

と言葉かけしたり、

空腹でイライラしがちなお子さんに対し、

「お腹が空くとイライラしちゃうよね。」

と説明してあげたりするなどといったかたちです。

自分の中で何が起こっていて、それがどう作用しているのか、

理解しやすいようにしてあげると良いかと思います。

分析して優先順位をつけることを教える

発達障害の特性として、マルチタスクが苦手、というものがあります。

これに対し、小さい頃から物事に優先順位をつける訓練をしておくと、

マルチタスクに対する混乱がだんだん和らぐようになっていく

と脳科学の観点からは考えられています。

最初は難しいと思いますが、早めに訓練し、将来に備えておくと良いかと思います。

情報の変換を行う

発達障害をもっている場合、視覚的な情報と聴覚からの情報で、

理解できる能力に差があることが多いです。

ですので、話した方が良いのか、メモで示した方が良いのか、

そういったところを把握し、お子さんの理解の良い方に変換してあげるようにしましょう。

具体的なものを抽象化し、他の具体的なものに落とし込むサポートをする

例えば

「叩いてるちゃだめ、と言われたから蹴った」

こういう子がいるとします。これが屁理屈ではなく本当にそう感じているケースがあるのです。

ときには物事を抽象化、大きくくくって説明し、

それが具体的にどんなことを含むのか、というところまで説明してあげましょう。

このケースで言うと、

「叩くのは暴力。暴力を振るっちゃだめ。」

と説明し、さらに、暴力とは何か、暴力には叩く以外に何が含まれるのかまで説明します。

それにより、暴力全体を止めることにつながるかと思います。

「切り替えコスト」を小さくする

「切り替えコスト」とは、

注意の対象をAからBに切り替える際にかかる労力

のことです。

発達障害のお子さんは、このコストが大きく、切り替えによって疲労感が残りやすい傾向にあります。

そしてその割に結果が残らない、という傾向もあります。

ですので、できるだけあれもこれもと詰め込むことは避け、

その日の目標はこれだけ、というように切り替えの場面を少なくしてあげましょう。

できることに集中し、できないことには悩ませないようにする

世の中には、自分でなんとかできることと、そうでないことがあります。

自分で何とかできるのは自分に関することだけです。

他人の行動や考えなど、自分の力で変えられないことに執着しないよう、

自分にはどうにもならない、ということを理解させてあげましょう。

繰り返し話すことで、徐々に理解が深まってくるかと思います。

負のらせん階段を一緒におりない

ここで言う「負のらせん階段」とは

悪い可能性を想像したことを足がかりに、さらに悪い可能性や考えにはまっていく

という状態を指します。

発達障害の子どもは不安を感じやすいです。

ちょっとしたことで不安を感じてしまい、それがエスカレートしてしまうこともあります。

子どもが悪いことを話している際に、話を聞くだけでなく共感までしてしまうと、

この不安のエスカレートに加担し、

「負のらせん階段を一緒におりる」

状態になってしまいます。

こういったときには、話を聞いてあげるものの、同じ感情にはならないよう、注意をしましょう。

親亡き後はどうしたら良い?

親亡き後についてはこちらの記事で話させていただいています。

お金の残し方や遺言の残し方についてお話ししています。

ぜひ参考になさってください。

まとめ

  • 発達障害の子はアタッチメント(愛着)の形成が難しい傾向がある。
  • できるだけ時間をかけ、強みを見せるなどして安全基地の役割を果たせると良い。
  • 脳科学の観点からは、具体的な指示や内部感覚の言語化、といったことが効果的。
  • 親がしてあげられることはたくさんある。でも親だけで抱え込まないことが大事!

特に最後の部分が重要かと思います。

発達障害児の育児は大変かと思います。ぜひ、知識を蓄えつつも無理をせず、

周囲を頼りながらみんなで育てていきましょう。

今日もお読みいただき、ありがとうございました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました