不登校支援のすれ違いを防ぐために

不登校について

不登校の子どもをどうにかしたいけど、関係が上手くいかない…子どもとは上手くやれているが、学校と上手くいかない…そんな風に感じている方、Xを見ているとかなり多いように感じます。私も身内が不登校のとき、親子の関係はギクシャクするし、学校の対応は強い不満があるし、ととても嫌な気持ちになっていました。なぜ、このようなことになるのでしょうか。今回のブログでは、

  • 子どものエネルギーに着目すると、親子の関係はスムーズにいく可能性がある
  • 学校の支援体制を理解すると、学校との関係が上手くいきやすい

ということについて、元教員としての経験も踏まえてお話ししたいと思います。

参考にしたのはこちらの本です。

親と子のすれ違い

まず前提として、私は小柳氏の「子どもの心のエネルギーの状態に応じた」支援の仕方を参考にしています。

ですので、子どもの実態については以前書かせていただいたように、6つの段階を経ていくと仮定しています。

この前提をもとに、色々なすれ違いのケースについて考えていきたいと思います。

ケース1 心配する親、昼夜逆転する子ども

不登校になった子どもの「あるある」として昼夜が逆転する、という行動があるかと思います。実際、不登校の子どもの約4割が昼夜逆転を経験するというデータもあります。昼夜逆転に対しては大抵の保護者は心配になります。ですが、この状況ではなかなかコミュニケーションもままなりません。どう対応すべきでしょうか。

この時の子どもの状態を踏まえた対応

子どもの段階としては、6つの段階の初期の2つ混乱期、もしくは休養期であると考えられます。

混乱期:かなり心のエネルギーが枯渇し、心身ともに厳しい状態

    →子どもの「学校に行きたくない」という気持ちを受け入れ、一定期間の休養を促す。

休養期:気持ちが落ち着いてきているが、また、エネルギーが枯渇している。心身の回復が優先。

    →ストレスを減らし、家族との会話を繰り返して心のエネルギーを貯めるようにする。

ですので、これらを踏まえると、対応方法としては

  • 責めると悪化するので、基本的には受け入れる
  • ただ、生活習慣が乱れていない方が復帰は早いので、極力リズムを作れるように配慮する
  • 日中のチャンスを伺い、タイミングをみて親子で日中に楽しい時間を過ごすなど、工夫する

といったことが考えられます。

ケース2 しっかり支援しようとする親、暴力的になる子ども

家庭内で暴力的になる、人にあたる、ものを壊すこういった行動は近年増加傾向にあるというデータもあります。ですが、子が親に暴力をふるうという状態は、決して普通の状態ではありません。ですので対応には注意が必要です。

この時の子どもの状態を踏まえた対応

子どもの段階としては、初期の段階、混乱期であると考えられます。

混乱期:かなり心のエネルギーが枯渇し、心身ともに厳しい状態

    →子どもの「学校に行きたくない」という気持ちを受け入れ、一定期間の休養を促す。

では、これを踏まえて暴力に対してどのように対応すれば良いでしょうか。次のような対応が考えられます。

  • 当人をなるべく避けずに、見守りながら話に耳を傾けながら時間をかけて対応する
  • 親子関係を再構築する気持ちで長い目で対応することを心がける
  • 親子だけでは解決が難しいケースもあるので、カウンセラーや医師に協力を仰ぐことも考える

ケース3 依存症を心配する親、ゲームに熱中する子ども

ゲームは年々子どもに身近な存在となっています。ゲームに熱中する子どもを止める、ということは難しいでしょう。また、現在ではe-スポーツというものもあるくらいなので、もし「ゲーム=よくない」という考えがある場合については、少しその考えをアップデートしても良いかもしれません。それを踏まえ、どのような対応が考えられるでしょうか?

この時の子どもの状態を踏まえた対応

子どもの段階としては、6つの段階の初期の2つ混乱期、もしくは休養期であると考えられます。

混乱期:かなり心のエネルギーが枯渇し、心身ともに厳しい状態

    →子どもの「学校に行きたくない」という気持ちを受け入れ、一定期間の休養を促す。

休養期:気持ちが落ち着いてきているが、また、エネルギーが枯渇している。心身の回復が優先。

    →ストレスを減らし、家族との会話を繰り返して心のエネルギーを貯めるようにする。

ですので、これらを踏まえると、対応方法としては

  • ゲームを「親子のコミュニケーションの材料」としてポジティブに捉える
  • ゲーム以外にも楽しいことがあることを教えてあげる

といったことが考えられます。「このゲームなんていうの?」などと、親がゲームについて良い反応をすれば、子どもはグッとこちらに関心を寄せてくれると思います。あまり頭ごなしに否定せず、ゲームをこちらも利用する、ゲーム以外の楽しいことを知ってもらうといった温和な対応ができると良いかと思います。

親と子のすれ違いはなぜ起こるのか?

根本には、親と子で不登校の際に目的が変わることがあると思います。当たり前ですが、

子:エネルギーが枯渇しているので休息したい。

親:学校に登校させたい。

この相反する関係がすれ違いを生むと考えています。ここで、エネルギーが枯渇している子どもを無理に登校させる方向にするのは難しいです。ですので、親の方が考え方や対応を変化させることが必要になってきます。

登校に対する意識を変える

個人的にはこれを推奨しています。「登校しなくてはいけない」というこの意識を変えるんです。「そんなこと言ったって、登校しないと将来どうするんだ!?」そういう反論が返ってきそうですが、それに関してはこちらの記事のような考えを一つ参考にしていただきたいのです。

経済的なことだけを考えると、実は学歴はそこまで重要ではないんです。お金の勉強自体をしっかり学校外でしておけば、老後まで見据えても生活に不安はほとんどないんです。ですので、こういったことを踏まえて登校しなければ、ではなく、もっと肩の力を抜いて不登校に向き合っていただければ、親子でのすれ違いは少なくなるのではないか、と思っています。

学校と保護者のすれ違い

個人的に最も興味を持っているのがこの問題です。Xを見ていると、この学校とのすれ違いが思った以上に多いということを感じます。どういうケースがあり、どう対応していけばよいのでしょうか。これについて考えていきましょう。

ケース1 学校への連絡が憂鬱になる保護者

学校に毎朝欠席連絡を入れるのは保護者としては憂鬱なものです。連絡を入れる度に学校から欠席理由を尋ねられますし、それに対して本人が上手く答えてくれないこともあります。そもそも毎朝連絡をする、という作業自体が手間でもあります。

対応方法

学校側としては、対応が後手に回るのは避けたいと考えています。ですので、保護者には手間ですが、連絡自体はお願いしたいと思っています。ですので、以下のように対応するのが良いかと思います。

  • 電話が憂鬱なら、メールなど、他の手段も相談する
  • 連絡する曜日を決めるなどして、連絡の頻度を減らして調整する

学校は不登校支援の中心です。関係を絶ってしまうとお互いに困った状況になりますので、連絡の頻度を減らしてでもつながり続けた方が良いかと思います。

ケース2 学校とうまくコミュニケーションができないと感じる保護者

不登校について、学校、特に担任と面談したが、上手く伝わらなかったこれがX上で多く見られる問題です。これについては、どう対応すれば良いのでしょうか。

対応方法

これに関しては、以下のように対応すれば良いかと思います。

  • 担任の次は学年主任、あるいは生徒指導、不登校対応の先生に相談する
  • 学校以外の外部機関に相談する

学校では、不登校に対してチームで対応します。担任で解決できればそれでOKですが、そうでなかった場合は

学年主任に相談する

生徒指導などの不登校を担当する教員に相談する

養護教諭やカウンセラーと連携し、ケース会議を開いて相談する

外部機関と連携する

といった流れがあります。ですので、担任のレベルで対応が難しければ、こちらから次のレベルに働きかける、というのも一つの手でしょう。

学校とのすれ違いはなぜ起こるのか?

学校と保護者のすれ違いが起こる原因、それは以下のことだと私は考えます。

  1. 学校の支援体制が保護者に伝わっていない
  2. 不登校支援に理解のない教員がいる
  3. 発達障害の二次障害としての不登校に理解のない教員がいる

学校の支援体制が伝わっていない

学校は校内、校外の様々な関係者と連携し、不登校対応を行います。

(例)スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、特別支援教育コーディネーターなど

ですが、そういった段取りが保護者に明示されることはありません。一方で、対応の窓口は担任に一本化することがほとんどです。ですので、保護者は様々な懸念を全て担任に向かわせることとなり、担任が上手く対応できないと、極度に不安になるのです。

不登校支援に理解のない教員

私もビックリしたのですが、X上では、不登校は甘えとし、なんなら「不登校支援は学校の対応すべきことではない」とまでいう教師アカウントがいくつもあるのです。実際、保護者から、不登校に対して問題のある対応をしている教師の報告が、X上のあちらこちらに散見されます。

発達障害に理解のない教員

こちらもX上に散見されます。なんなら実際、普通校において障害児対応が「テキトーに対応できる、少人数クラス」として、仕事をしたくない一部の教員から特別支援のクラスの担任が人気化するといった情けない現状を、私自身見たことがあります。

  • 本来、発達障害は特別支援学校ではなく普通校の管轄
  • 不登校には発達障害の二次障害というケースがある
  • そもそも支援級に配属され、知識が大いに必要となる可能性がある

以上のことから普通校の教師にも発達障害の知識が必要であるのは間違いありません。ですが、残念ながら現実には、そういった知識を充実させた先生は少ないのかもしれません。ちなみに発達障害の二次障害としての不登校についてはこちらの記事をお読みください。

まとめ

  • 子どもの心のエネルギーの状態に応じ、対応を考える。
  • 不登校の出口戦略に着目すると、再登校にこだわる気持ちが和らぎ、温和に対応しやすい。
  • 学校はチームで対応するが、窓口は担任。担任で不安ならその後に控える主任クラス等に相談。
  • 残念ながら不登校支援について理解のない教員もいることに注意。
  • 学校に支援が期待できなければ、外部機関に依頼して学校に働きかけてもらうのもアリ

最後、学校批判のようになってしまいました。元教員として、このことはとても残念に思っています。この問題の根本は個々の教員の問題というだけでなく、人員不足、研修の機会、時間の不足といった問題を放置している文科省(もう現場は崩壊し、教育委員会も同様なので…)の問題であると考えます。ぜひ、子どもたちがよりよく支援できるよう、環境が整えられることを願っています。

今日もお読みいただき、ありがとうございました。

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