不登校になった子どもの気になる症状とその対応

不登校について

〜発達障害のケースも含む〜

子どもが不登校になってから、昼に起きてこなくなった…ゲームばかりして会話がなくなった…

といったお悩みがある方いらっしゃいますでしょうか?私も身内が不登校になった際、様子がどんどん変わっていって困惑したものです。そこで今日は、不登校になった子どもの気になる症状とその対応について考えていきたいと思います。

今回参考にした本はこちらです。

昼夜逆転の生活になった

文科省の調査では、不登校児童生徒の約4割は生活リズムが乱れる、という調査結果があります。昼夜逆転になるのは、ほぼ自然なこととも言えます。これに対してどうしていけばいいでしょうか。

昼夜逆転は直した方がいいが、責めたら逆効果

まず、昼夜逆転自体は治していった方が良いです。ですが、昼夜逆転しているのも本人にとっては理由があります。

  • 昼の人目が気になる
  • 知人に会いたくない

などなど

ですので、寛容な態度を示しつつ、親子で協力して生活リズムを取り戻していくことが必要になります。

  • 早起きは無理でも午前中の起きるようにする
  • 食事は家族ととる
  • 昼間に親子で楽しい時間を過ごせるよう、おやつ作りをする

など、徐々に生活リズムを取り戻せるよう、工夫することが良いかと思います。

ADHDが睡眠の乱れの原因になっているケースもある

ADHDの成人、約9割が日中に眠気を感じるなどの睡眠に関する悩みを抱えている、というデータもあります。また、原因はハッキリとしていませんが、ADHDが過眠傾向にあるという指摘は多々あります。

その他にも、下の表のように発達障害子どもの睡眠に関する悩みは多岐に渡ります。

入眠困難布団に入っても寝つけない
起床困難朝、起きることができない
中途覚醒夜、何度も起きてしまい、まとまって寝ることができない
睡眠時無呼吸症候群 寝ている途中に、定期的に呼吸ができなくなる症状
睡眠時遊行症寝ている途中に、立ち歩いたり、動いたりしてしまう
睡眠時驚愕症寝ている途中に、叫んだりパニックにな起きてしまう

ADHDの睡眠問題への対応方法

ADHDの起床困難に関しては、モチベーションが働かない、ドーパミンがそもそも出づらい、という問題があります。ドーパミンが出ず、学校へのモチベーションが働かないため、起床困難につながりやすいのです。

また、登校できた際にも授業に対してモチベーションが働かず、日中の眠気につながってしまい、その後の夜の入眠困難につながる可能性があります。

ですので、学校に行ったらこんないいことがある、授業頑張ったらこんないいことがあるとモチベーションを高める具体物を設定できると効果的です。

また、これらは「短期的な対応」ですが、「長期的な対応」としては、学校での人間関係や学習状況のアセスメントをしてもらい、環境調整、合理的配慮をしてもらうと、日中の活動量の増加、過眠の解消にもより長くつながり、睡眠の問題をいくつか解決してくれるかと思います。

ASDが睡眠の乱れにつながるケースもある

ASDには感覚過敏の特性があることがあります。

(例)

  • 聴覚過敏→人の声、生活音、いびきなどに反応して寝れなかったり、途中で起きてしまう
  • 視覚過敏→電球やライトが明るくて寝れない
  • 触覚過敏→寝ている時に家族や物にぶつかって起きてしまう

こういったことが睡眠の乱れにつながってしまうことがあります。

次に、ASDの人には体内のセロトニン量が少ない、ということが知られています。これは、次のような影響があります。

  1. セロトニンが少ない
    • 不安性が強く出て、感覚過敏が強くなる。これが睡眠の乱れにつながる
  2. セロトニンが少ない→セロトニンを原料とするメラトニン(睡眠の導入物質)が少ない
    • 寝つきが悪くなり、中途覚醒が増えるなど、睡眠の乱れが起きる

ASDの睡眠問題への対応方法

なかなか難しいところがありますが、感覚過敏に配慮した眠りやすい環境作りが重要かと思います。ですが、環境作りにも限界はあるかと思います。ですので、そういった場合は病院の受診やカウンセラーへの相談が必要になるかと思います。また、もし問題の解決が難しい場合については夜型の学校を検討する、というのも一つの選択肢にはなるかと思います。

イライラして暴力を振るう、物を壊す

法務省の発表によると、家庭内暴力の件数は年々増加傾向にあります。不登校の本人は家にいても落ち着かず、それがこういった形で爆発するのかもしれません。

ですが、子どもが親に暴力を振るったりするということは普通の状態ではありません。一つの家族の危機とも言えます。できるならば、本人をなるべく避けず、見守りながら時間をかけて親子関係を再構築していくことが良いでしょう。

親子だけで解決が難しい場合には、医師やカウンセラーなどに仲介役として入ってもらうことをお勧めします。

ゲーム時間が増えた

子どもがゲームばかりしていると、何のために学校を休んでいるのかという気持ちになってしまいますね。

親子の会話のチャンスとして捉える

これについては一つのチャンスとして捉えると良いかと思います。ゲーム=親子の交流ツールにしてしまうのです。こちらからゲームの話をし、興味がある姿勢をみせることで本人もこちらに関心を寄せてくれると思います。

その過程で、ゲームにハマる理由を本人から引き出せると良いでしょう。理由を聞き出せると、その後ゲームに変わる代替案を親子で検討することが可能になります

ゲームについてはやめさせる、ではなく、他のことに置き換えるを目標にすると良いでしょう。

ゲーム依存の根底にある問題を考える

多くの場合、ゲームに依存状態になるまでのめり込む子どもは、学校での生活に不満や課題があったりします。ですので、ゲームにのめり込んでいる背景に、その他の日常生活がうまくいかない裏返しがあるかどうか、ということを考えると対応がしやすくなるかと思います。背景の問題を明確にし、他の支援と組み合わせながら適応行動を増やせるように支援していくと良いかと思います。

将来ユーチューバーになりたい、と言い始めた

ここで考えていただきたいことは2点です。

  • 副業レベルで考えれば、ユーチューバーは現実的な選択肢
  • 「〜したい」と言えることは良い傾向

まず、私はユーチューバーは副業で行う分にはアリだと考えており、こちらの記事でも副業の選択肢の一つとして紹介しています。

次に、この話を子どもがしてくること自体は良い傾向だと言えます。一つ、物事に興味を持てているということは、心のエネルギーも溜まり、回復期が近づいてきた証拠かもしれません。

※不登校の6段階についてはこちらの記事を参照。

また、先ほどのゲームの話と同様に、この話も親子の関係を良好にするための一つのツールになるかもしれません。子どもの唐突な提案には困惑するかもしれませんが、冷静に受け止め、かつ上手く利用できると良いでしょう。

「起立性調節障害」と診断された

起立性調節障害とは

  • 自律神経機能の低下が原因となる病気。
  • 小学生高学年〜高校生に多く見られ、有病率は20人に1人程度とも言われる。
  • 回復にかかる期間はまちまち。成人期までかかることも。
  • 起こされたことを覚えていないほとひどい症状になることもある。
  • 受診先は小児科。

起立性調節障害への対応

まず、朝起きられるように協力してあげましょう。カーテンを開けて日光にあたるようにする、朝声かけをするなど、体内のリズムが調整されるよう促しましょう

一方、本人の辛さも尊重して支援した方が良いでしょう。学校にこの診断を連絡し、理解を求めることも必要かと思います。

「睡眠障害」と診断された

睡眠障害とは

  • 睡眠に関連した様々な病気のこと。
  • 環境の変化への不安やストレスから生じやすい
  • 発達障害、ネット依存からも生じる
  • 睡眠習慣の調整と薬物治療が効果的

睡眠障害への対応

決まった時間に起きるようにする、決まった時間に布団に入るようにする、ということが、まず考えられる対応方法です。布団に入る際には、できるだけ体をリラックスさせて入ることをオススメします。

薬物治療が適応になることも考えられます。その際には、別の疾患が隠れていないか確認することも大事でしょう。極力市販の睡眠薬を使うのではなく、受診して医師の指示に従いましょう。

まとめ

  • 昼夜逆転については責めても逆効果。寛容な態度を示しつつ約束等をして、ある程度生活リズムを確保できるようにしていくことが大事。
  • 生活リズムの乱れについては発達障害がその背景にあることがある。そのことを念頭に入れて対応することが必要
  • 家庭内暴力等がある場合については、過度に避けずにタイミングを計って対話等で親子関係の再構築を図れるといい。だが、無理はせず、必要に応じて医師やカウンセラーにも協力してもらうと良い。
  • ゲーム依存については、ゲームを親子のコミュニケーションを図るためのツールの一つとして利用できると良い。また、ゲーム依存にはその背景に別の問題が隠れていることがある。それについても確認が必要
  • 起立性調節障害等との診断が出た場合については、医師の指示に従い、治療に集中していくと良い。また、学校へもその旨を連絡し、連携していくことが大事

不登校については、様々な気になる症状が現れると思います。いずれも冷静に対処し、必要に応じて周囲にも協力を仰ぎましょう。

今日もお読みいただき、ありがとうございました。

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