不登校児の支援において、学校との連携は必須です。
ですがX等を見ていると、その学校との連携がうまく行かない…
そんなケースが少なくないようです。
そこで今回は、
- 学校が本来行うべき支援について
- 学校が頼れない際の頼れる外部機関について
- 学校と連携するコツについて
お話ししたいと思います。
今回参考にしたのはこちらの本です。
学校が頼れないケースとは
本来、不登校対応について学校が行う役割は多岐に渡ります。
少し古いですが、学校の不登校対応について文科省がまとめている資料がこちらです。
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/futoukou/03070701/003.pdf
これによると、学校は
「学校内外のコーディネーター的な担当を設置すべき」となっています。
ですが、以前驚くべきケースに出会ったのですが、
X上にて教師を名乗るアカウントとやり取りをした際
「不登校対応は学校の仕事ではない」
とはっきり述べたのです。
そしてこのような考えを表明するアカウントはどうやら少なくないようで…
このように、学校側の認識不足で学校を頼れず、
不登校児への支援がうまく行かない、というケースは結構あるようです。
学校が行うべき対応について
本来学校が行うべき対応は、以下のようなものがあります。
- 状況を整理して対策を考えるため、多角的にアセスメントを行う
- 構造的環境の調整を行う
- 人的環境の調整を行う
これらの具体例についてはこちらの記事で紹介しています。
学校側は、不登校の対応のために観察、分析を密に行い、
それに基づいて合理的な配慮を、環境面、人間関係面でも行なっていく必要がある
ということです。
学校以外に頼れる外部機関とは
学校以外に頼れる機関は、福祉、教育の面で異なります。
一般的な家庭が学校以外に頼れる外部機関となると、
以下の3つが考えられます。
- 自治体が開設する教育センター
- 教育支援センター(適応指導教室)
- (発達について心配がある場合)発達障害者支援センター
教育センター
教育相談所、教育研究所などと、名称が変わる場合もあります。
※検索すると、「総合教育センター」が上位に来ることがありますが、これは別物!
相談内容としては、不登校以外にも、
子どもに関することであれば何でも相談できると考えて問題ないです。
利用方法
電話で事前に予約し、当日相談に行く対面相談と
電話で相談できる電話相談の2種類があります。
教育センターでの活動内容
対象の年齢に応じて活動内容が変わっていきます。
< 小学校(低、中学年) >
遊戯療法が中心。
この年代ではカウンセリングは対応として適当でないため、
言葉の代わりに遊びを通して、自分の気持ちを表現してもらう。
50〜60分程度、相談員と子どもが1対1で遊びながら、
ありのままの自分を表現してもらい、心の健康を取り戻してもらう。
< 小学校高学年、中高生 >
カウンセリングを行う。
教育支援センター(適応指導教室)
相談事業の他に、不登校の小中学生の居場所の提供も行う場所です。
教育支援センターへの出席は、学校の登校日数にカウントされることもあります。
利用の相談を学校にすることになると思いますので、
その際に確認しておくと良いでしょう。
利用方法
利用にあたってはいくつかの条件があります。
(例)利用が適切だと所属の学校長や教育委員会で判断される
などです。
自治体によって異なりますので、確認した上で検討してください。
また、定員及び入室審査があります。
基本的には、まず学校に相談することが必要になってきます。
教育支援センターでの活動内容
学習支援、集団活動、スポーツ活動、体験活動などが行われます。
学習支援では、教室によって様々ですが、
学校のワークやプリントなど、子どものペースで進めることができます。
スポーツ活動では、同じ教育支援センターに通う子どもたちと、
球技などをして交流します。
体験活動では、園芸などで野菜を育てて収穫したりします。
利用においての注意点
教育支援センターのない自治体もありますので、確認が必要です。
また、出席日数に含まれないケースもあるので、この点も同様です。
さらに、対象が小、中学生に絞られているので、
高校生の不登校対応にあたっては別の場所を検討しなくてはなりません。
発達障害者支援センター
発達障害を持つ人への支援を総合的に行う専門機関です。
名称は「発達相談支援センター」「心の総合支援センター」など様々ですが、
基本的に全国の自治体に設置されています。
相談については無料ですが、療育等のサービスを利用しようとする場合、
教材費などが実費になるケースもありますので、
事前の確認が必要です。
学校と良い関係を築くには
不登校のお子さんの支援において、学校との連携はとても大事です。
では、学校と良い関係を築くにはどうしたら良いでしょうか。
チームとしての学校、を知る
本来、このようなことをしなくても良いように学校組織が機能するのが理想ですが、
いざという時に、学校という組織、チームを知っておくと話がスムーズになります。
まず学校は「学年団」「校務分掌」といったチームで動いています。
学年団 …クラスの担任を中心とした、各学年を指導する担当教員の集団
校務分掌…進路指導、生徒指導、教務といった、学校組織の運営や生徒全体をサポートする役割
また、教師の他に
スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー
といった他職種の専門家等も連携して生徒のサポートにあたっています。
不登校支援の段取り
まず、不登校の児童生徒が発生した場合には
担任が中心に支援を行います。
担任単独の支援で解決が難しい場合、以下のような流れで対応していきます。
(例)
担任の支援
↓
養護教諭、生徒指導主事、特別支援教育コーディネーターと連携
↓
スクールカウンセラー等の他職種の専門家、外部組織との連携
それぞれの段階での支援について、
管理職(副校長、校長)の指示を確認して動いていきます。
学校の動きを踏まえて支援を考える
先ほどお伝えした学校の動きを踏まえておくと、以下の利点があります。
- 担任の指導に不満をもっても、次の指導レベルに期待をすることができる。
- どの時点でどこに相談を持っていけば良いかが理解できる。
担任にも当たり外れ、相性があります。
学校の動きを想像できれば、そこで不満を感じても絶望せず、
次の指導レベルをまつことができます。
また、担任の動きに不満をもって、即教育委員会に通報
となると学校との連携は少しぎこちなくなりがちです。
(学校組織を知らない保護者の立場からすると仕方ないと思います)
担任で無理なら生徒指導担当等にも相談、といったように
段階を踏めるととてもスムーズに支援がすすんでいくかと思います。
まとめ
- 学校は不登校支援をチームとしてしっかり行わなくてはならない。
- 学校以外には教育センター、教育支援センターを頼るという選択肢もある。
- 学校の支援の流れを理解していると、保護者と学校の連携はとてもスムーズになる。
正直このまとめは元学校関係者として情けない…
とは言え、現状を少しても良くするポイントではあると思います。
こういったことが、保護者だけでなく
不登校支援を不要とするごく一部の教員の方々にも伝わってほしいと願います。
今日も、お読みいただきありがとうございました。
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