子育てが上手くいかないのは私のせいでは…、子どもが学校に行かないのはウチでの対応が悪かったから…?そんな風にお悩みの方いらっしゃいますでしょうか。個人的には断言します。そのように悩んでいらっしゃる時点でみなさんのせいではありません。そんな責任感ある方々が全責任を負うように考える必要なんてないのです。でも、ついついそう考えてしまう、ということもありますよね。そこで、今回は保護者のみなさんのセルフケアについて心理学の観点からお話をしたいと思います。
今回参考にしたのはこの本です。
保護者のセルフケアをお勧めする理由

まず大前提として、発達障害児の育児も、不登校児童生徒の対応も、保護者の負担が大きすぎます!まず発達障害児の育児ですが、これは自分が学校で携わっていたので感じますが、まあ過酷すぎます…!同僚ともよく話題にあげていましたが、「自分たちは学校という限られた時間で、しかも仕事として接しているからそれなりに楽しくもやれるけれども、愛情のみで1日中対応している保護者のしんどさは計り知れない…。」と感じていました。実際、X上では保護者の方の生々しい壮絶な苦労のお話をよく耳にし、本当に頭が上がらない思いでいます。不登校児童生徒の対応での保護者負担の大きさについてはこちらの記事でもお話しさせていただいています。
支援だけでなくセルフケアにも「認知行動療法」がオススメ
まず、認知とは「目にしたもの、体験したことをどう理解するか」ということです。これをより現実に適したものにかえ、行動の変容も目指していく、というのが認知行動療法です。例えばこちらの図をご覧ください。

この4つの要素は全て関連ついています。例えば「仕事で相手を怒らせた」という出来事があったとします。これに対し、認知が「また失敗した!上司の怒られる」と認識したとします。すると気分が「不安、憂鬱」になり、行動が「仕事に手がつかなくなる」となります。さらに身体反応が「息苦しい」となるかもしれません。さらにその身体反応が不安を強くしたり、認知を強化したりします。このように4つの要素は互いに影響しあっているのです。ですので、「認知が変われば行動も変わる」「行動が変われば認知も気分も変わる」といった考え方をして治療を行っていくのが認知行動療法なのです。
セルフケアにオススメの技法を紹介
認知行動療法には様々な技法が存在します。今回紹介するのは、その中でもセルフケアにオススメの技法です。
- 行動活性化法
- 認知再構成法
- マインドフルネス
- ACT
ACTについては以前の記事で詳しくお話ししたので、今回は割愛させていただきます。
行動活性化法
活動量の減少が状況の維持要因であると捉え、状況の改善を図る方法です。例えば次の表を見てください。
< テーマ 「ゆううつ」 >
1月16日(月) | 1月17日(火) | |
7:00〜 | 起床、身支度 90 | 起床、身支度 90 |
8:00〜 | 通勤 100 | 通勤 100 |
9:00〜 | 仕事、ミーティング 80 | 仕事 80 |
〜中略〜 | ||
21:00〜 | スマホ 動画 20 | ゲーム 30 |
この表のように、1週間の活動記録を行います。例えば抱えている問題が気分の「憂鬱」であれば、その気分についてその気分がどれくらい強くなったかを0〜100で数値化します。この表を元に、辛い気分が低下している部分に注目します。次週はその行動を増やし、楽しみや達成感を得られるようにします。何もなければ気分を悪化させている行動を見直します。「酒を飲む」などの苦痛を先延ばしにするだけのいわゆる「回避行動」についても見直していきます。
認知再構成法
辛い時に出てくる自動的な思考や、偏りのある認知を見つめ、修正していく手法です。その中でも簡単な方法をご紹介すると、「DACS質問用紙」というものがあります。50問のアンケートのようなものに簡単に答え、その結果から認知の偏りを見つけるというもです。これについては関連の書籍に書式のデータが添付されていたりします(権利の関係でお見せできず、すみません…)。回答は簡単なので、ぜひ一度手に取って実践していただきたいと思います。冒頭でも紹介しましたが、以下の書籍からもデータをダウンロードできます。ご参考になればと思います。
ここで一つ知っていただきたいのが、「心をつらくする原因に『10の推論の誤り』がある」と言われているということです。
- 全か無か思考
- 完全な成功や結果以外、全て失敗と捉える
- 過度の一般化
- 一つの否定的な出来事を全てに当てはめる
- 心のフィルター
- 否定的なことに囚われ、良いことに目を向けられない
- 結論の飛躍
- 人の心を勝手に読んだり、事態を先読みする
- マイナス化思考
- プラスの出来事を拒絶したり、軽視する
- 拡大解釈と過小評価
- マイナス面を過大に、プラス面を過小に評価する
- 感情的決め付け
- 感情こそが事実の根拠と思い込む
- すべき思考
- 非現実的な高い基準を、自分や他者に課してしまう
- レッテル貼り
- 自分や他者を極端なステレオタイプで評価する
- 個人化
- 他の人に起きたことを自分のせいと思い込む
これらを知っておくだけでも、認知の再構成に役立つと思います。
マインドフルネス
マインドフルネスについては簡単にですがこちらの記事でも触れています。これについてはかなり感覚的な部分が強いので、とにかく関連書籍を読みまくることをオススメします。関連書籍を読み漁っていくと、自然にマインドフルネスの世界に意識が没頭していき、様々なエクササイズをリラックスした心で取り入れていけるようになります。簡単にだけ説明させていただくと、「脳内の思考と戦うのをやめ、『今、ここ』の体験や感覚に意識を集中させる」ということを通じて偏った自動思考を取り除いていくという手法です。書籍は以下の2冊が個人的にはオススメです。この2冊を読み終わる頃には、マインドフルネス、ACTの考えに意識を委ね、セルフケアを習慣的に行える身体になれるかと思います。
セルフケアだけでなく、カウンセリングを受けるのもオススメ

今回ご紹介したのは、カウンセリングを受ける暇がない、そんなことを考えたり手続きをすることすら余裕がない、といった方のためにセルフケアをオススメしています。もし時間的にも気持ち的にも可能であれば、本来はカウンセリングをオススメします。カウンセリングに行けば、今回ご紹介した様々な手法を、支援者も加えてよりグレードアップして行うことができます。また、問題解決技法や対人関係解決技法、エクスポージャー法など、カウンセラーを介して行える技法もあります。ぜひぜひカウンセリングに対しても興味を持っていただけたらと思います。一番のオススメは病院です。専門の心理士、医師がその莫大な知識、経験を持って対応してくれます。「病院は時間も手続きもなかなか…」という方は、オンラインカウンセリングも選択肢の一つでしょう。今では「スキル販売サイト」にて、カウンセリングとまではいかず、悩み相談に有料で乗ってくれる方も多くいらっしゃいます。そういったところを利用するのも良いかと思います。
余談ですが、私自身現在カウンセラーを志望しており、ゆくゆくはオンラインカウンセリングを行えるようになりたいと思っています。そんな私程度でよければお話し相手になりますので、ぜひXにてフォロー、DMでの連絡をいただければと思います。要は私の練習相手にもなっていただきたいのです笑 申し訳ありません。もちろんお金はいただきませんので、よろしければご連絡お願いします。
まとめ
- 発達障害の育児や不登校対応など、保護者の負担が多すぎる。ケアが必要!
- 心理学的にな認知行動療法によるセルフケアが、お家で行うにはオススメ。
- 技法も大事だが、「10の推論の誤り」を覚えておくだけでも効果あり。
- 1番いいのは、セルフケアだけでなく、カウンセリングを受けにいくこと。
今回は各技法について簡単に紹介させていただきました。また後日、それぞれの技法について詳しくお伝えしたいと思います。
今日もお読みいただき、ありがとうございました。
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