成人の発達障害、全般について

発達障害について

私って発達障害?あの人って発達障害っぽい?こんなことを思ったことはないでしょうか。前回は大人のADHDについて話をしました。

今回はADHDに限らず、発達障害全般についてお話ししたいと思います。今日のお話では

  • 発達障害について正しく理解できる。
  • 発達障害への対応を理解できる

というメリットがあります。

今回参考にしたのはこの本です。

成人の発達障害とは?

成人の発達障害とは何なのでしょうか?実は、発達障害は成人と子どもで大きな違いはありません。ADHDについてはその現れ方に多少の違いがあります。このことについてはこちらの記事で紹介させていただいています。

ASDについては、社会に出ることでその特徴がハッキリ現れるということがあります。仕事においては人間関係をうまく作ることは必須です。ですがこれは、ASDにとっては苦手なことだらけです。このためトラブルが増えていき、その中で発達障害が明らかになることがあるのです。つまり、成人の発達障害とは、元々あったものの問題視されていなかった発達障害が社会に出ることによって問題になる、ということなのです。

ASDについて

ASDはとても特徴的な発達障害です。

  • 人との関わりが独特
  • 相互的なやり取りが苦手
  • 臨機応変に対応するのも苦手

といった特徴があります。

ASDの診断基準

ASDの診断基準として、アメリカ精神医学界のDSM-5があります。診断基準は、簡単に示すと以下のとおりです。

  • コミュニケーション、対人関係にずっと困難を抱えている
  • 行動、興味がとても限定的。
  • 症状が小さい頃から存在している(明らかになるのは後からでも良い)。
  • 症状によって、社会や仕事において障害を引き起こしている
  • 障害の内容が、知的障害などの違う障害では説明できない

ASDは生育歴にもヒントがある

ASDの人は、幼い頃からさまざまな特徴を示します。

< 乳児期 > 

  • 視線が合わない
  • あやしても笑わない
  • 後追いしない
  • 呼びかけに答えない

< 幼児期 >

  • 言葉の発達が遅れる。
  • 集団生活になじめない。
  • 他の子への関心が少ない。
  • 友達ができない。
  • パニックを起こす。
  • 同じ遊びばかり繰り返す。
  • 落ち着きがない。
  • こだわりが強い。
  • 食べ物の好き嫌いが激しい。
  • 感覚過敏。

< 学童期 >

  • 友達とトラブルを起こす。
  • 不安感を抱きやすい。
  • 特に新しいことが苦手。
  • 行事に参加できない。
  • 集団生活に苦労する。

ASDと診断されるほどではない人について

ASDは正式名称「自閉症スペクトラム症候群」と言います。これは、自閉症と呼ばれていた障害の症状が、グラデーションのように強弱がある集団ということです。つまり、ASDの特徴には非常に弱い人からとても強い人まで差がグラデーションのように少しずつ広がっている、ということです。ですので、環境との兼ね合いが診断までにいたるかに、大きく影響します。多少ASDの特性があっても、周りがそれを許してくれるなら、それは障害にならない、ということです。つまり、環境によってはASDでも問題なく過ごしている、診断も受けていない、という状況がありうる、というわけです。

ASDとADHDでの共通点と違いについて

ASDとADHDでは共通する症状があります。多動、不注意、衝動性、といった点です。ですが、これらの症状がなぜ起こるのか、という理由がASDとADHDでは違うのです。

(例)「衝動性」

ADHD…待つことができない

ASD …状況が読めないので、突然動いているように周りから見られてしまいがち

衝動性が強いからADHD、などと単純に判断せず、その理由まで理解する必要があります。

発達障害と間違いやすい精神疾患

発達障害と間違えやすいものに、以下のものがあります。

  • うつ病
  • 不安症
  • 双極性障害

落ち着きがなくなる、衝動性が現れるなどの様子から、これらは発達障害と間違えられるケースがあります。

※私の経験では、医師が間違えて判断していると思われるケースも1例存在しました…。

これらが決定的に発達障害と違う点それらの症状が発生しているのが一時的であるという点です。

※「一時的」と言っても期間が長い場合もありますので判断は難しいですが…。

勝手に判断せず、専門の医師のところで受診し、指示を仰ぎましょう。

ASDが問題になるケース

ASDの特性が問題を引き起こすケースとしては、次のようなものが考えられます。

  • 人付き合いがうまくいかない
  • 仕事がうまくいかない、孤立しがち
  • 誤解されやすい
  • 話を間にうける、冗談が通じない
  • こだわりが強く、問題になる
  • 感覚がビンカン過ぎる
  • 変化に対応できない

などです。

ASDの引き起こす問題への対応方法

色々な問題への対応方法としては、以下のようなことがあります。

適切なあいさつを覚える

基本のあいさつができるだけでも印象は大きく変わります。まずは「おはようございます」「こんにちは」を積極的に使っていくようにしましょう。あいさつの仕方に自信がなければ、ニコッと笑って軽くおじぎをするだけでも良いです。

思ったことをすぐ口に出さないようにする

真実であっても、正義であっても、状況が合わなければ周りに嫌われる私もそうでしたが、ASD傾向があるとこのことを理解していないことが多いです。どんなことでも、まず相手の反応を考えてみる。そういったクセをつけ、すぐに口に出さないようにしましょう。

視線を使ったりあいづちを打つ練習をする

相手が話をしている時に「聞いてますよ」という無言のメッセージを送るこれがASDには自然にできません。ですので、相手の目を見る、時々あいづちを打つということを意識して、日々の会話で練習をしていきましょう。

アドバイスをもらうクセをつける

ASDの人は色々と問題を引き起こしてしまうことがあります。また、それに対して指摘してもらってもうまく受け止められない、気づかないということがあります。まず、家族や親しい友人にうまくいかない状況を具体的に説明して、それに対してアドバイスをもらい、それをきちんと受け入れる練習をしましょう。何度も知人等にお願いしていると嫌がられることもあります。そういう場合は、心療内科でカウンセリングを受けるなど、専門家を頼りましょう。

感覚過敏には、周りと話し合った上で具体的に対策する

聴覚、視覚、触覚といった感覚が反応し過ぎる、という困難さがASDにはあったりします。これに対しては、周囲の人にそれを具体的に説明することから始めましょう。その上で、お互いが気持ちよく過ごせるよう、対策を行なっていけると良いです

  • 昼食は一人で食べる
  • 耳栓を使う
  • 必要に応じてサングラスをかける
  • 身につけるものは相談し、可能な限り感覚を刺激しないものを身につけられるようにする

など、さまざまな対策がとれるかと思います。

こだわりが人に与える影響を考えられるようにする

ASDにとって、こだわりとうまく付き合うことは大きな課題です。以下のように対応できると良いでしょう。

  • こだわりを全部満たせない場合は、その次に納得できるやり方というのを考えておく
  • 自分のこだわりは他の人にとっては重要ではない、ということを受け入れる

変化に対応するため、情報を集めてシミュレーションする

変化に対しては、以下のような手立てが考えられます。

  • 見通しがもてるよう、できるだけ情報を集める
  • 変化が予想される場合は、予定をできるだけセーブする、体調管理を優先する
  • 変化はできるだけ複数重ならないようにする

周囲の人ができる、ASDへの支援

ASD自身の努力に加え、周囲の支援があると、特性による問題が解決、緩和しやすいです。具体的には以下の方法が効果的です。

  • やることのリストかや、手順表の作成など、視覚的な支援をする
  • 先の見通しが立てやすいように配慮する
  • あいまいな指示はさけ、具体的なやり方をできるだけ示す

これらの方法を意識しするだけで、お互いが健やかに過ごせる環境が作れる可能性が大きく上がるかと思います。

まとめ

  • 発達障害は3種類。ASD、ADHD、LD。
  • 大人の発達障害というのは、明らかになる時期の違いによるもの。
  • ASDは現れ方が特に特徴的だが、対応方法もたくさんある。
  • 障害者自身の努力、周囲の理解や配慮、どちらもあると問題が起きにくい。

成人の発達障害というのは、問題が明らかになるタイミングが遅い一方問題自体は大事(おおごと)になりやすいです。早めに理解を向上し、うまく対応できるようにしましょう。

今日もお読みいただき、ありがとうございました。

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