色々と嫌な出来事があって辛い…、誰しもそんな気持ちにはなりますよね。そういった辛い気持ちがひどくなったらぜひ試していただきたいのが今回ご紹介する「認知再構成法」です。今回の記事では
- 認知再構成法は気分をより正確に捉えられるようになることがスタート
- 気分の次は自動思考に気づけるようにする
- 自動思考を評価できるようになると気分も良い方向に変わるようになる。
こういったことについてお話ししたいと思います。
今回参考にしたのはこの本です。
「気分」を捉えられるようにする
私たちの気持ちは「辛い」「もう無理」なとど漠然としています。まず、自分の気分をしっかり捉え、適切に表現することが認知行動療法のスタートです。例えば「辛い」という表現があった場合に、「辛い」=「悲しみ」なのか、=「落ち込み」なのかといった形でより精密な表現を考えていきます。気分をより正確に表現できるようになったら、それを数値化する練習をします。
- 簡単な資料作りでミスをしてしまった。
- 「悲しい」=70%、「惨め」=80%、「悔しい」=30%
気分を表現する際「気分」と「思考」を混ぜてしまう場合があります。その場合は、「気分」と「思考」を分ける練習もしましょう。

「自動思考」を理解する
何か嫌やことや辛いことが起きた際に半ば自動的に浮かんでくる思考をここでは「自動思考」とします。嫌な出来事は誰にでも起こりますが、同じ出来事でも感じる気分が人によって異なります。これは、出来事に対してこの「自動思考」を通して「気分」が決まっていくからなのです。自分がどんな自動思考を持ち、どんな気分を感じたのかを把握できるよう、練習をしましょう。直近の辛かった出来事を振り返り、「出来事に対してどんな自動思考が浮かんだか」「その時の気分と数値はどんなだったか」を考えてみましょう。

自動思考については、「DACS質問用紙」を使うことで簡単に見つけることもできます。以下のような質問項目が50項目載っており、書式についてはここで紹介する本よりダウンロードすることができます。
- 私にはこの先嬉しいことはないだろう 5 4 3 2 1
- 私はこの先幸せになれないだろう 5 4 3 2 1
- 私にはこの先良いことがないだろう 5 4 3 2 1
「10の推論の誤り」が自動思考に大きく影響する
また、自動思考に大きく影響を及ぼすのが以下の「10の推論の誤り」です。これらはストレスが強まると現れる度合いが強くなるので、注意が必要です。
- 全か無か思考
- 完全な成功や結果以外、全て失敗と捉える
- 過度の一般化
- 一つの否定的な出来事を全てに当てはめる
- 心のフィルター
- 否定的なことに囚われ、良いことに目を向けられない
- 結論の飛躍
- 人の心を勝手に読んだり、事態を先読みする
- マイナス化思考
- プラスの出来事を拒絶したり、軽視する
- 拡大解釈と過小評価
- マイナス面を過大に、プラス面を過小に評価する
- 感情的決め付け
- 感情こそが事実の根拠と思い込む
- すべき思考
- 非現実的な高い基準を、自分や他者に課してしまう
- レッテル貼り
- 自分や他者を極端なステレオタイプで評価する
- 個人化
- 他の人に起きたことを自分のせいと思い込む
現実場面で思考と気分を理解する練習
気分と自動思考の関係を理解できたら、その後の現実場面で早速チェックしていくようにします。

こういった記録を繰り返していくと、状況を客観視するクセがつき、嫌な気分に飲み込まれにくくなります。次に、この記録を元に自動思考について考察をしていきます。
その自動思考は現実的?客観的に評価しよう
先ほどの自動思考の中から、最も気分を強く動かす「ホットな思考」にスポットを当てると効率的です。その自動思考に対して、根拠となる事実とそれに対する反証をできるだけたくさん考えていきましょう。反証が思いつきづらい時は、自分のことでなく「同じことが友人に起きたら」などと仮定し、なるべく客観的な視点を持って意見を考えられるようにしましょう。
- 「ホットな思考」自分だけ嫌われていて、顔を見るのも嫌かもしれない
- <根拠>すぐに書類を返された
- <反証>他の人もされている、本当に忙しかったのかも、ただ機嫌が悪かっただけかも…
このように考えていき、「根拠」「反証」のどちらが多いかを考えます。「反証」の方が多かったら事実とは言えません。事実に即した別の認知を考えられるよう、意識していきましょう。ここで認知の誤りに気づいたら、先ほどの「10の推論の誤り」のどれに当てはまるかも考えてみましょう。認知の誤りをより客観的な事実として自分に落とし込むことにつながっていきます。
新たな認知で自分の変化を促そう
自動思考の偏りや認知の誤りに気づけたら、次は「適応的思考」や「新たな感情」について考えていきます。以下のように表を埋めていき、最終的に気分がどうなったかを整理していきましょう。
日時、出来事、自動思考、感情 | 推論の誤り | 適応的思考、新たな感情 |
月曜、ようやく退院。夫は私を家へ送り、また仕事へ。家は片付いており、子供は私の実家にいるので部屋で一人きり。電話もメールも誰からもない。 →「私は誰からも必要とされてない人間だ」 →悲しみ90%、惨め60% | レッテル貼り 過度の一般化 | ・「病気になる前は家事も育児もかんばっていた。必要とされていると感じていた。 ・今は色々できないことがあるけど、心配してくれる友人や家族がいる。自分には価値がある。 → (ここに新しい感情、その度合いを書く) |
なかなか元の認知から離れられない場合は「脱中心化」を活用しよう
ここまで取り組んできても、なかなか元の認知から離れられない場合もあります。その場合は「脱中心化」を活用していきます。「これまでの認知」=「真実」と思い込む自分を、上空から眺めるイメージを持ちましょう。具体的には、「他者目線で眺める」という方法がオススメです。「友人がそのように考えていたら、どう言葉をかけるだろう?」と考えてみましょう。人は、自分目線では自分に対して不当に厳しい評価をつけがちです。他者目線にすることで、厳しすぎる基準で自分を不当に苦しめていたことに気づけるかと思います。
過去の体験から、役だつ考え方を見つける
人には本来、辛い状況を乗り越える強さ「ストレングス」と精神的な回復力「レジリエンス」が備わっています。その部分に焦点を当てていくのが「ポジティブ認知行動療法」です。過去の辛かった経験を振り返り、「どうそれを乗り越えてきたのかを考えましょう。また、その際には以下の「6つのストレングス領域」を意識すると気づきが深まりやすいです。
- 知恵と知識
- 好奇心や学びへの意欲など、問題を解決し、成長しながら、人生を豊かにしようとする力
- 勇気
- 人間性
- 愛情、親切さ、コミュニケーション能力など、他者とつながり、思いやる力
- 超越性
- 希望、感謝、ユーモアなど、心を豊かにする価値を見出す力
- 節度
- 謙虚さな寛容さ、慎重さ
- 正義
- 社会的責任、公正さ、リーダーシップなど、信頼や協力を元に成し遂げる力
まとめ
- 気分をより正確に捉えれるようになれば、自分を客観視するきっかけができる。
- 自動思考に気付き、認知の偏りを理解することが重要。
- 「10の推論の誤り」は知るだけでも効果アリ!
- 新たな認知が築ければ、気分も行動も良い方向に変わっていく!
少しずつ、どれか一つでもいいのでぜひ実践して、心も体もリフレッシュしていきましょう!
今日もお読みいただき、ありがとうございました。
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