スクールカウンセラーの可能性

不登校について

「子どものことについて、学校とうまく意思疎通ができない…」「担任の先生と合わないんだけど、どうしたら良いか…」こういったお悩みの方、いらっしゃいますでしょうか?こういったケースについては様々な解決法があるのですが、実は、スクールカウンセラーも、その解決法の一つになるんです。今日は、

  • スクールカウンセラーは子どもだけでなく、保護者にも対応してくれる
  • 生徒、保護者対応も学校での面談だけじゃない
  • そもそもスクールカウンセラーって何者

といったことについてお話しします。

今回参考にしたのはこの本です。

スクールカウンセラーの業務内容は結構多い

スクールカウンセラーの業務内容は多岐に渡ります。実は、現場の教師もあまり知らないことです。というか、現場の教師はスクールカウンセラーのことをあまり知りません。知っているのは、カウンセラーと現場を繋ぐキーパーソンである養護教諭くらいでしょう。業務内容は以下の通りです(「教育相談の充実<報告>」の「SCガイドライン」より)。

  1. 児童生徒へのカウンセリング
  2. 保護者への助言、援助
  3. 児童生徒集団、学級や学校集団に対するアセスメントと助言、援助
  4. 児童生徒の困難、ストレスへの対処方法、児童生徒への心の教育に資する全ての児童生徒を対象とした心理教育プログラム等の実施
  5. 不登校、いじめや暴力行為等問題行動、子どもの貧困、虐待等を学校として認知した場合、自然災害、突発的な事件、事後が発生した際の援助

ほとんどの方が1のみの業務だと思っていらっしゃるのではないでしょうか。実は、2のように、保護者とつながることについても立派な業務の範囲内なんです。また、3、4のように教員側へアプローチすることも業務の範疇なんです。

スクールカウンセラーが学校でできることもかなり多い

具体的に、スクールカウンセラーが校内でどんな活動をできるのかについてお話ししていきます。

相談や予約方法の周知

スクールカウンセラーを利用する、予約の仕方、相談の仕方等について、児童生徒に伝える必要があります。これが、どこのスクールカウンセラーもやっている、基本の活動です。

相談室外での活動

スクールカウンセラーはカウンセリング用の相談室を校内に設けます。ですが、いつでもそこにこもっているわけではありません。

電話等での対応

基本的なカウンセリングのスタンスとしては対面が好まれます。ですが、登校が難しく、遠隔であれば話せる、という児童生徒もいます。こういった場合については電話を使ったカウンセリングが行われます。これは保護者への助言、援助の場合も同様です。来校が難しい、なかなか都合がつけられない保護者に対しては児童生徒同様に電話を使ってのコミュニケーションを行うことがあります。

家庭訪問

注意として、これについては自治体によって対応が異なり、家庭訪問ができないという規定がある自治体もあります。ですが、教員に同伴する形でならOK、あるいはスクールカウンセラー自体が家庭訪問することを可能としている自治体もあります。ですので、電話対応では物足りない、でも登校は難しい、というケースに関しても対応が可能な場合があるのです。

メールやSNSでのカウンセリング

対面も苦手、電話も苦手な生徒が自分のペースで、自分の調子が良い時を選んでじっくりコミュニケーションをとることができる手法です。便利な反面、24時間、365日対応が可能になってしまうがゆえ、対応に齟齬が生まれる可能性があるので注意が必要です。スクールカウンセラーの対応が遅れた際に、「自分が嫌われた」「見捨てられた」と感じ、より不安定な状態を作ってしまう可能性もあります。

オンラインでのカウンセリング

Zoomやマイクロソフトteamsなどを使ったオンラインでのカウンセリングも可能です(学校のIT環境にもよりますが)。欧米ではコロナ禍で注目され、拡大してきている手法であり、日本でも、改善の必要がある点もありつつ、拡大を期待されている手法です。

スクールカウンセラーってそもそもどんな人?

スクールカウンセラーとは、職業の名前であって資格等の名前ではありません。スクールカウンセラーとして働ける人は、以下の要件を満たす人です。

  1. 公認心理士
  2. 臨床心理士
  3. 精神科医
  4. 心理専門の大学の教授、講師等
  5. その他、都道府県等が1から5と同等と認めた者

どれもが専門の大学、大学院等を卒業するなど、かなりの専門的知識を有しないと取得できない資格を持った、まさに心理学のエキスパート達です。

スクールカウンセラーは「チーム学校」の一人

まず学校の運営については現在、中央教育審議会により、「チームとしての学校が求められている」とされ、学校を組織を1つのチームとして考え、運営していくことになっています。学校を1つのチームとして考え、家庭、関係機関と関係しあい、連携、協議を行っていくというものです。ちなみにチームの構成としては学校内のスタッフとして「事務職員」「「指導教諭」「教諭(担任等)」「養護教諭」「スクールカウンセラー」「スクールソーシャルワーカー」があり、その上の指示系統、管理系統として「校長」「副校長」「教頭」「事務長」「主幹教諭」がある、という考え方です。つまり、スクールカウンセラーは担任らと同様、学校内のスタッフとして同列に位置付けられているということなのです。子どもの最善の利益のために中立的な立場をとります(教員側だけのための立場を取らない)が、学校外の専門家、という立場ではないのです。

スクールカウンセラー運用の課題

最大の課題は、「現場がスクールカウンセラーについてよく知らない」ということです。おそらく、私が勤めていたどの学校でも、今回書いた記事の内容を知る先生はほぼいないでしょう。それくらい、教員の中でスクールカウンセラーの認知度は低いのです。今だに「学校外の専門家」という位置付けをしている人がほとんどです(歴史的には過去はそういう立場であった事実はありますので、単純に先生の意識がアップグレードされていない、ということなのです)。さらに、過去、学校外の専門家という立場から、学校と関係性を作るのに尽力し、ようやくスクールカウンセラーが学校現場のチームの一員となった、という流れがありますので、スクールカウンセラー側もずけずけと学校内に無遠慮に立ち入っていくのは憚られるという事情もあります。こういった背景から、せっかくのスクールカウンセラーという人材が活用しきれていない、という現実があるのです。

(大変だが)保護者、生徒側から積極的に利用できると良い

情けない話ですが、こういった文科省の方針転換に現場は割と疎い傾向があります。教員の人手不足、業務過多、文科省の無責任で一方的な通達など、単純に教員に問題があるというのではなく、様々な要因が重なってこういう現状があります。ですので、なかなかこういった内部の状況が自浄化されていくのは時間がかかると思います。では、どうしたら良いのか。大変申し訳なく、手間のかかることなのですが、こういった情報を把握している保護者、生徒が積極的に活用してくれる、ということが最も効果的かと思います。生徒、保護者からの利用申込を通じて、こんな活用ができるのか、と教員側に気づかせることにより、今後の運用の改善につながっていくでしょう。

まとめ

  • スクールカウンセラーは生徒の悩み相談だけじゃなく、保護者対応も業務
  • 先生への助言も業務。しかも立場は中立的
  • 学校での対応だけじゃなくて、電話等、手段も多彩
  • スクールカウンセラーは「チーム学校」の一員。担任とも同列

こういったことから、冒頭でお示ししたような悩みについてもスクールカウンセラーで十分対応が可能なのです。ぜひしっかりご活用いただいて、生徒、ご家庭ともにより良い支援が行えていけたらと思います。

今日もお読みいただき、ありがとうございました。

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